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Zapple's Music Note for cheer down
last update apr.19,2003
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10CC 3rd -1975

"Cheer Down "の当初の幻の計画「自薦100音楽」に入れる予定だったアルバム。

「オリジナル・サウンド・トラック」と題されたアルバムはロック・ファンといよりはポップス・ファンに愛されたアルバム。なんといっても全米2位に輝く「I'm not in Love」が収録されている。

冒頭から組曲「Une nuit a Paris」。これが当時横行した(^^;プログレの延々と長い組曲のパロディでもある。またpart two に登場する Casanova 辺りはブライアン・フェリーを意識したことも (Do the bosa nova は Do the strand と読みかえられるし)わかります。判らなかったのは何度も「コーラス」で繰り返される「Will wipe the Smile off」。もちろん表面的な意味はわかるけど「コーラス」を非常に多用したこのアルバムでの意味はなかなかピン来なかった。

「Smile」というバンドを前身に持つQueen がボヘミアン・ラブソディを作るのもこの年。

「Yesterday」の次ぎに「Dizzy Miss Lizzy」を持ってくるように「I'm not in love」に続いて詩と音が融合した傑作「Black Mail」。「I'm not in love」の同系色の音が最初はリズムのアクセントで使われ、その実それが息遣い(^^;に変わる。囁き−といっても声を秘めたヴォーカルスタイルもこんなに上手く行くものなのかと驚いた。スライド・ギターがセクシーであることも再確認できる。

ただこのパランスがとても難しいものだということも確かである。次作「How dare You!」は音の比重が増す。そのあと二つのチームに分裂してしまうのだが、名前を継承したスチュアート/ グルードマン コンビに対する毒気が抜けたという評価は間違いだと思う。判りやすいポップソングも作ってはいるものの詞の世界に限れば彼らはブリティッシュ・コミックを引き続き作っている。ちょっと込み入った世界や怖い話も手がけるのだが、有体に言って詞がそうなっているだけ。一方のゴドレー/クレームは音を追求して行く。三枚組の大作はギズモのPRでもあり実験でもあるけれどなにか喚起されるものはなかった。アルバム作りでもマッカートニーをコーラスに参加させたりしているのだが惹かれるものはあまりなかった。切り口の面白さと映像の使い方のセンスでこちらのチームは大きな成功を収めるだが別にブラック・コミックいうわけではない。

織り込み歌の傑作「The film of love」は 映像班の面目躍如。ヴォーカルの小技も充実していてエンディングは立派。

Melody Maker の Pop Poll でも Genesis、Yes などともに上位に選ばれる。

may.31.2003
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