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nicola

プロローグ

タッチ・タイピングに最初に憧れたのは中学生の頃。スポーツ記者のオスカー(ジャック・クレグマン)が見事な2本指打法を披露していた。ジャック・クレグマンとトニー・ランドールのTV版「おかしな二人」の中でのこと。実に見事にタイピングしていた、人差し指2本だけで。たまたま家に小さなタイプライターがあったので付属の解説書を見ながら練習を始めました。これがいわゆるfj式で最初は人差し指でfjfjと打ち込んでゆく。1週間でマスターできると書いてはあるんですね。ところが4日たってもマスターできる兆しがない。あと残りは3日である。もっともタイプが出来るようになったとしても使いみちはカセットテープのインデックス作り程度。かてて加えて当時のカセットテープはかなりの高額品で(60分テープで800円〜1000円くらいはしていた)もっている本数も限られている。そうなるとタイトルくらいなら1本指打法で十分対応できるし、それですら作成するのは希。(ちなみに今のようにテープが100円くらいになって佃煮作れるくらいにあればあったでとても丁寧にインデックスカードを作ってはいられない。というよりそんな気持ちが無くなってしまった。)まあそういう程度の心持ちが反映したのか1週間やって見ても指が上手く動かないとあっさり諦めた。

しかしなせがまた高校生の夏休みになると挑戦した。。この頃になるとカセット・テープも本数を増やしていたし・・・・・・なんとなく試してみたいし。そうしてまたfjfjfjなんてことを試みる。でも覚えられない。もちろん動機が弱いこともあるけど、この方法に問題があるんじゃないかともオボロゲに思いましたね。一番の問題はどうもこのなんですね、タイプライター使えたって英語そんなにスラスラ使えるわけじゃないんだからと思うと・・・・

まあそれでもなんとなくは位置が覚えられてくるとむしろ2本指打法に傾いて行く。大体の見当はつくわけだからそれでも当座の需要には応えられる。しかしタイプライターがワード・プロセッサーと大きく違うのはフィジカルな問題。ワード・プロセッサーは各キーをどんな力で叩こうと画面出力とは繋がっていない。シフトキーにしてもリターンキーにしても押し下げられれば問題はない。ところがタイプライターはハンマーでリボンを紙に叩きつけるという方式だからiだのt という人差し指担当の上に文字が単純なものはくっきりと、一方aだのq だのpだのという小指担当は印字も薄くなる。これに加えて厄介なのはCaps−大文字。要するにハンマーを当てる的を持ち上げて大文字部分を紙に当てるようにする。この仕組みで全体を美しく仕上げるのはかなり神経をつかう練習が必要。

結局この後もう一回のチャレンジ!四日間くらいがあったものの、実用性がないなぁということで諦めました。ただこの頃から「12時間で覚えられるタイプ」と言うのが出始めたのであります。英文のワード・プロセッサーです。なんとなくですが興味があってちらっと見にいったのですが、これが生徒が全員女性!ハーレム状態?さすがにこれは来る所ではないなぁと分かったわけであります。

meet the oyayubi shift

高見山が小型冷蔵庫のようなワード・プロセッサーを担いでいる頃はあんなものは邪魔だろうと思っていたのですが、みるみる小型化され、再びあのタイプライターへの憧れが復活しつつありました。が、問題はあの入力が旨くいく証はないと言うことです。

当時あったのは見るからに面倒くさそうなjisカナ、ローマ字入力、新jisカナ(小指入力?)それに親指シフトです。どれも長短併せ持つ方法です。どれを択ぶか?この結論は「特選街」に書かれていた古瀬幸広さんの親指シフトの勧めでありました。この方法のメリットは単純に言えば入力スピード。別に読みにくい字を書いていたわけではないので、つまりどうしてもワード・プロセッサーを使うなら入力スピードでのアドハンテージが無ければ意味ないじゃん、という気分もありましたね。もともとタイプライターのハンマーが絡まないという条件をクリアーする為に決められたキー配置。これで日本語を入力する。ローマ字入力がどうしたって本質的な日本語入力ではない。これも大きいです。

確かに親指シフトがパーフェクトだとは思いません。ただ日本人の大半は馬鹿なので面倒くさいことや不自由なことを改善しようという気が全然ありません。ローマ字入力より便利な方法が出来ればそれを使うなんてメタルーカラーのオジサンなんていってましたが、そんなもん外圧が無ければ生まれませんよ。そういう国です。しかもこの手の人たちが親指シフトをマスターすると英文入力が出来なくなるなどと言うデマを平気で口にしていました。そんなこたぁありません。

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