晴交雨獨 No.24 | prev | next |

世界選手権選考 東京前後

大阪国際女子マラソンでの結果から少し話題になっている世界選手権マラソンの代表選考。不人気な世界選手権−ロンドンは2005年開催を施設が間に合わないため返上し、IAAFはUSAとUKに対して対応が冷淡と批判し、2007年の大阪大会開催はほとんど無風で決まった−のマラソン代表が議論になるのはやはりマラソンクレージーな日本ならでは? (選手の敬称は略しています)

東京前

なぜか話題になる世界選手権の代表選考の話。大阪で21分台が3人も出たのでちょっとクローズアップされたのかも知れません。と言っても今回、選考基準は早々に決まっていました。しかも内定ではなく要件を満たせば自動的に決定になるという余計な斟酌を入れない方法を取っています。26分未満で日本人最高位であれば決定。3つの選考会から優先的に選ばれます。

この基準をもっと高くという話はあまり出ませんでしたね(ちなみにParis 2003 −オフィシャル・パートナーにTBSも入っている(;_;)−の標準記録 A より女子は6分も速い、男子は2分)。5人という枠を考えれば大抵収まると。またこれまでの例から世界選手権で選ばれるアテネの代表は一人、となれば有力選手の競合はないのでは?という見方はありました。

陸連が「世界選手権のマラソンでメダル獲得した日本選手の最上位者を代表とする」と発表したのが2002年7月30日。この基準が決まる前に三井住友海上女子陸上部の鈴木監督は世界選手権は選考レースに含まない方がよいという意見を表明。一方小出監督(当時、積水化学女子陸上部)は「優勝」を条件にした方が良いと話していました。勝負(メダル)が第一義の世界選手権では駆け引きが優先され結果的にタイムだけを見ると物足りない印象が残るレースがありますから。

ただ「優勝」が条件となった場合男子はかなり難しくなり、夏で疲労も残る大会だけに国内大会に出場した方が五輪代表に選出される可能性が高いと思われます。そのなると男子の有力マラソン選手が出場しない世界陸上になることも考えられたと思います。とかくメダルの数がクローズアップされる大会に有力どころが出場しないレースはNFとしても避けたいところです。

選考基準の決定受けて高橋尚子の東京国際への出場も発表されました。有力候補と見られていた渋井陽子は世界陸上は一万mでの出場、チームメイトの土佐礼子が大阪国際への出場予定。どのレースを選択するかも一つの勝負運。(アテネの残りの選考基準は2003年4月に発表するとのこと。)

東京後

アテネよりまず世界選手権と考えたランナーがどの程度いたかは判りません。ただエドモントンのリザーブから本出場の決まったものの不本意な成績に終わった松岡理恵は別かも知れません。東京を選択したのはパリの結果からたとえ高橋に続き2位でもタイムが良ければ代表に選ばれるということもあったのでしょう。

結果的には高橋欠場によりレース展開が変わり要件は満たしたもののここでも不満の残るレースになりました。とはいえやはりこれも勝負運。もっとも今のところ関係するのは思い通り行かなかった松岡とうまく行った坂本を擁する天満屋の竹富監督です。見物から言えば、現状で野口みずきに敵わなかった坂本が夏までに凌駕しようと考えるよりじっくりトレーニングして選考レースに挑んだ方が可能性が高いように思われます。無論アテネを狙う場合ですが。

また土佐礼子も足首の剥離骨折。これを受ける形で渋井陽子が一万mからマラソンでの出場に切り替え、名古屋国際へ出場することになりました。

一年のトレーニング

ところで世界選手権で選考基準を満たした場合は一年間のトレーニング期間が与えらます。前回のセビリア−シドニーでは実際の所女子はゴタゴタしてしまい本当の意味での落ち着ける期間は結局3月以降になったように感じました。一方男子はかなりの僅差にも関わらず特に騒がれることも無く(それもまた寂しい)トレーニングできたように思えるのですが結果的には力を出せないレースに終わりました。

セビリア世界選手権ではマラソンの標準記録はなかったため男子3位に入賞したもののその時点ではシドニーの標準記録を持っていません。標準記録をクリアするために琵琶湖あたりのレースを走ることを条件に内定を出すという話までありました。結局日本陸連が世界陸上で20位以内の選手は標準記録を問わずオリンピックの出場の出きるという提案をしてコングレスにおいて了承されました。

逆にいえばこれによってまともなレース参加は難しくなったようにも思います。ほんとに実戦から遠ざかって厳しいレースに挑めるのかは今だ謎です。競技は全く違いますがスピードスケートの三宮選手が引退会見においてスビードスケート代表の早い内定(した時点では世界でもトップクラスだった)にあえて疑問符を出していたことも記憶に新しい。ただSACの小出代表は自信を持っておられるようだったのでその手腕を見てみたいという興味はあります

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