晴交雨獨 No.26 | prev | next |

技術の粋

Formula-1 のヨーロッパグランプリで久しぶりに上位で追い越しがあった。同じ位のスピードの車に技量に差がなければなかなか抜けないという言葉通り、今回はシューマッハーの車が角を曲がる際にかなりスピードを落とさざるを得ない何ががあったため、スピードで勝るモントーヤが交した。その際シューマッハーのフロント・ウィングがモントーヤの車に接触した。たまたまカメラが前方を映しているから見えた。これに関しては両ドライバーともに問題はない、レース中には起る事と話している。この後シューマッハーはバランスを崩して後輪がコースを外れてしまい、コースを塞ぐ形で立ち往生したため後ろから押してもらいレースに復帰した。

最近はコース上ではなかなか追い越しがない。途中でガソリンの給油とタイヤ交換の為に停車するのだがその節を狙って前へ出るという作戦が主流になっている。戦略が重要とはいっても盛りあがるのはタイヤを交換してコースに戻る時に相手がどこに居るか、というようなこと。あとは上位チームは隊列を作って走ることが多い。

元はいえば89年の日本グランプリのシケインでの衝突からおかしな事になった。セナとプロストという同チームのドライバーが最終の一番スピードの遅いシケインで絡み合う形でぶつかった。たまたま待避ゾーンにエンジンが止まらず車があったセナが押しがけでスタートして再びトップに返り咲いた。このことがプロストをチャンピオンにしたい会長には気に食わず、前例は無視する形で押しがけスタートはルール違反、シケインでの衝突は危険な運転であるとして翌年のレースへの参加も許さないという審判を下す。結果的には抗議を取り下げる形で翌年のレースの参加は許された。が、コース上での押しがけはコースを塞ぎ危険な場合を除き禁止され、車同士の接触も過敏な反応をするようになった。

また技術の粋を集めたとされてきたFoumula-1であるが様様な新技術も禁止されている。アクティブ・サスペンションはもとよりゴムを溶かしながらグリップを出すスリックタイヤも溝つきタイヤへと変更された。細かい電子的な補助装置も禁止される。

チームの資本力による格差をなくすためと行われるこの種の規制が実のところ強いチームとそうでないチームの差を開いてきたように思える。ちょっとした発明やパランスの良さで急に速くなるなんて事は滅多になくなり多重衝突でもなければ下位チームが上位に食い込むことは少なくなってきた。

軽量エンジンと特性のシャーシのお陰でトップを走った90年のティレルやガソリンが満タン時にはそこそこなれど軽くなってくるとドンドン速くなっていった94年ころのベネトンなど。

チームは減ったものの上位と下位の差が開くFoumula-1はその高い放映権に見合うレースを提供できるのだろうか
jul.01.2003

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