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晴交雨獨

筋書


絶対安全!

絶対安全なら東京に原子力発電所を作れば良いじゃないかというのは、かなり良いアイディアだった。なぜなら電気事業で一番の悩みは電送ロスで、発電地と大量消費地を近接すれば大幅な発電量の削減が可能である。ロスが減れば当然コストは下がる。超伝導物質に対する期待も大きい。が、結局の所、原子力発電は一つ間違えば大事である、ということが大消費地を避けて数数の利権や援助を土産に距離の離れた地域に作られることになった。もちろん実際問題としてそれだけの土地が大量消費地にあるかどうかは難しい所。

ロスが少ないということで言えば最近は天然ガスを使ってコンパクトに発電できるタービンがある。1台で5家族分くらいの発電が出来るユニットである。小さな自治体単位で扱えばロスというのはかなり減る。

もともと原子力発電がコストで安いというのもかなり無理がある。掛かる費用をすべて纏めて計算するわけではなく、除外されているものがかなり在る。この手の遣り方をすると競争力は付かず独占していれば良いが一度野に放たれると運営が難しくなる。東海村の一企業が合理化をするのに命懸けだったのは無理がたたったような気がする。

嫌な筋書き

使用済みの原子炉の問題はもとより現在の使用済みの核燃料の廃棄物の処理も名案はない。コンクリートで固めてドラム缶に詰めて南太平洋に捨てているのが現状。これが本当に安全であるとはかなりの夢見る夢子ちゃんでもなければ信じられない。コストも含めてこういう問題が原子力先進国だったアメリカ、フランスという国々が撤退していった理由であろう。メリットが在るならこの国々は簡単に放棄しないはずである。何故日本だけがこの道を選択しているのか。過去の経験を見ると沽券に拘って撤退しないということが数多い。負けることが分かっても一億玉砕を叫んだ国である。そのくせ意気地はなく、筋も通さない。

1960年代に鯨には智恵が在るから殺すのは殺人に匹敵する、なんて戯言を大の大人が言うとは誰も思わなかった。しかしソンミ村の事件の後にこの問題が出てから以降現在まで鯨の地位の向上は目を見張るほど。鯨権擁護局があるかのようである。つまりないと思っていても突然降って沸いたようなことは起きる。南洋に捨てている核廃棄物から放射能が微量でも漏れているという疑惑が持ち上がったら?現在原子力を推進しているのは日本だけ。過去はともかくこれからは環境保護の為には海に捨てることはまかりならないという宣言が主張されることはありえるのでは?


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