晴交雨獨 | prev | next |

UTADA

1998年の11月ころからFMでオンエアーされ始めた宇多田ヒカル。シニカルなってしまう邦楽の中でほんとに久しぶりに単純に好きだと思いました。開けてブームの到来。そのちょっと前からBBSに書いていたものをテキストにしました。自分用の備忘録


1999. 1.21わくわくするアルバム


イヤー「オートマティック」ヒットしてますね。すごい。タイアップなしで曲だけでこれだけ売れちゃうなんて。確かに曲が優れていて歌も良くて声も良いけどチャートに反映するのというのも驚いた。3月に発売予定の宇多田ヒカルのアルバムには期待してしまう。

ゴタクを言えば優れているのはたとえばシンコペーションの処理の仕方。あの「恋人はサンタクロース」のようなダサイ処理の仕方はされていない。クリアの仕方がモナコを1センチのレベルでコーナリングしていくような快感すらある。ドリカムをはじめとして変なところで日本語を区切って語感メチャメチャにして苦労してきた洋楽的なメロディとリズムに日本語詞を乗せる事も高いレベルでクリアされている。しかも聞きやすく、意味も分かりやすい。歌いやすいかどうかはリズムが取れるかどうかということになってしまうけど。ともかく日本語として可笑しい歌い方はしていないのも優れている。その日本語詞がまたレベルが高い。"Time will tell"のような曲とアイドルが作詞する生硬な励ましソング(でもヒットしていた)と比べると違いに愕然としてしまう。「明日へのずるい近道はない」なんてうなってしまうな。宮部みゆきの「理由」にもこういう挿話がありましたね。日本人は結構このズルイ近道数寄だ物。"Automatic"でも「チカチカしている文字 手をあててみるとI feel so worm」なんて部分も巧いなぁと思う。

日本ではデビューしたてだけどアメリカではアルバムだして4年くらいになる。とはいってもこれって経験でどうこうなる問題ではないような気もする。もちろん今のところサウンド・プロダクションには手を染めていないけど。すべてやるのが良いのか優れた楽曲を創るのがいいのか。まあプロデュースまで一度はすべてやることになるんでしょうね。まずはアルバムがどんなレベルで出来るのか期待大。


1999. 1.31女(の子)だったりします

男でこういうタイプが出てきたらカッコイイけどね
12月にラジオ(AM)でスペシャルというかおしゃべり(DJではなっかたね)をしていました。ニューヨーク出身で、というか父親の仕事で居たそうです。でもって家に帰っても誰もいないから父親の仕事場(レコーディング・スタジオ)に子供の頃から入り浸っていたという。なぁんだ、それでかぁ、とちょっと納得しちゃいそうだったんですが、これって十分条件かもしれませんが必然性はないですよね。父親がミュージシャンとかエンジニアとかプロデューサーでニューヨーク出身なんて言う人はそれこそたくさん居るわけですから。まあ玉子は38℃で21日暖めないと孵らないけどゴルフ・ボールはいくら暖めてもゴルフ・ボールですから。−って友達に話したら「少なくとも両親は暖めたのね」といっていた、そう暖めたのは本当だ−ただ母親がかなりのポピュラリティを得た歌手だったと言うのは関係あるでしょうね。声はあるていど構造的に遺伝するし人を惹きつける声って言うのはあるだろうから。話題の歌手とか期待の若手なんて言う時割と聞く方でもゲタはかせるというか割り引くというかそんな感じがあるんだけどその必要がまったくないのも嬉しい限り。

16歳になったばかりでこのレベルの詞・曲を書いているって言うのはやはり楽しみですね。勝手な期待ですけど。2月に出るシングルをFMでちらっと聞いたけどこれも面白そうでした。まあライブでどれだけ出来るかっていうのが大切ですけど。


1999. 2.17ひとめぼれなんてありえない

なんて思ってたけど^^;Movin' on without you 出ました。なんかもう2ndシングルなんて言う気のしない宇多田ヒカルです。いわゆるシングルのバージョンはギターのステアリングとか気になるというか邪魔^^;だったのですが、tribalmixとしてなんとリズムだけのミックスも入っています。まあこれが聞き物ですね。リズムだけで歌持ってしまいます。というよりセメントみたいなベースが物足りなくてもっとセンスのいいベースプレーが・・・・といいたくなります。じゃ、そんなプレーヤーいるかと言われると・・・細野さん?^^;

相変わらず歌いかたの発明は素晴らしく

♪せつなくなる は ず じゃなかっ た の に

あたりのリズムと音の取り方は見事ですB&C の歌い出しなんて老練^^;さすら感じたり、

♪約束はしないで 未来に保証は無い方がいい

から始まるところほんとにヨガッテシマイマス(独りで?)こういうテクニックというか盛り上げ方も図抜けていますね。普通はなんミリとかいう感じでいいとか悪いとか見ているのにこうメートル単位で違っているというのはただ驚くばかり。でもこういう人が結局アメリカン・スクール出身だという点はなんかさみしい気もするけど。


1999. 2.19アップルズ・スキン

xtcの久しぶりのアルバム。なんか懐かしいですね。もうこの音が。いやーすっかり押し入れに入っていたと言う感じで^^;

宇多田ヒカルと同じような時期にデビューしていた椎名林檎。下手な英語で始まってジェフ・リンみたいなストリングスが続くというパターン。ブッキラボウに歌っているようで、実は細かく考えてトレースしている感じが見えてなんか嫌な感じでありました。シド・ヴィシャスなんて詞もゾワーとしてしまったわけでありました。でもこの人って真面目な真摯な態度の人なんですね。コースをじっくり下見してコーナーでギリギリまで計算して一つ一つ0.01秒でも削っていくというタイプです。でもまあ結果的にはポールとは関係ないというポジション^^;

宇多田ヒカルがビートルズなら椎名リンゴはxtcかなぁなどと


1999. 3.15 わくわくしたアルバム

それにしてもちょっと予想のつかない展開になりました。「団子3兄弟」はともかく宇多田ヒカルのアルバムがこういう騒ぎで売れるとは。品切れしたりとか「一人一枚にしてください」なんて貼り紙でてたし。テレビ関係のタイアップがないまま「Automatic」が少なくとも100万単位の支持があったのも驚きました。

さてアルバムですが、つなぎの1曲(Interlude)とAutomaticの別ミックスと別編集既発のシングル曲2つ、別ミックス1つを除くと6曲がピカピカの新曲。巧い歌い方もあるけど、「In my room」や「Give me a reason」は収穫。こういう形もあるんだなぁ。ま、それにしても既発のシングルが強力。ちょっとうまく纏まり過ぎっていう気がしたり、それはあまりに高望み。Virgin Divisionに対する賛辞が最初にあったと言うことはアメリカでのディストリビーションもVirginかな。となるとビルボードトップ10の路も遠くない?

まあこういうブレイクの仕方でも壊れるような才能ではないのだけど、反動というかワイドショー関連の隙があったら潰してやるという俺達は何の品性もない視聴率と強い事務所以外は恐いものなし、みんなが取材するなら俺達も付和雷同、本当の大切なことは伝えないのは太平洋戦争の頃から一貫していますの鬼畜な連中の取材対象になったのはマイナスですね。まあ避けようがないけど。


1999. 5.5なんだか普通の歌手

なんだか普通の歌手を目指しているのではないのかなぁ、なんて気もしていますアイドルを志向しているのならもう少し初期投資をしても良かったし例えば今やかなり印象には残っていますが最初のプロモビデオはあんまりお金かかっていないし、メディアへの露出も結構コントロールしてましたから。
ただ、そうなるとファーストアルバムのブックレットの顔だけアップというのがどういうことなの?って気もしますね。ある程度のバック・オーダーがあるからコーティングしたりする費用は問題ないでしょうけど。こうなんていうのかアーティストというのは避けたいって風にも見えますね。思わせぶりなことや意味深なことを排除してとりあえず(自作)歌手という風に。アーティスト的な記号は出さないようにするって感じました。ある意味歌手としての自信の現われなんでしょうけど。アヤフヤなマユツバ・クリエイターといったものに一線引こうかなぁなんて風にもとれましたね。

R&Bを志向しているというよりはまあ只今聞いてきた音楽がその傾向を持っていたと言うくらいのものじゃないのかな。歌い方にも彼女の好きなフレディ・マーキュリーだったりアライア・キャリーというフレーバーがありますから。それに歌自体の艶というか色気は割と歌謡曲的であるしお色気歌謡や艶歌という縁石まで踏み込んでいるなぁという気がします。もっとも走っているところは洋楽のリンクなんだろうけど。あと母親の声質って言うのは、前にも書きましたね。

本人は普通の高校生だという印象を持たれたことに対して反発していました。もちろん普通の高校生なんてどこにも居ないんですけど。これって実際にはいわゆるR&Bなんていわれる人の変な話し方(^○^)に対する反応なんですね。ブッキラボウというか典型的な「UA 嘘つかない」というか「未ー者、アルンドビーあるよ」(そんなこと言わないって!)というそれ風なキャラが無かったってことなんですねそれにしてもUAの話した方最初聞いたとき笑ったなぁ。90年代でもやるか、それっって感じ。

でもそれにしてもこの次って言うのはちょっと大変です。歴代1位のアルバムセールスっていうのも凄いことは凄いけど。ミラクルなサウンドというよりはハイ・クオリティなものを提供するっていうことだからねぇ。売り上げのことは軽く受け流してマグレみたいに考えた方がいいでしょうね。


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